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2015年6月17日水曜日

SUZUKI KATANAはどこまで刀か

 バイク乗りなら一度は憧れ、スズキ乗りなら一生心奪われ続ける、SUZUKI KATANAというバイクはあまりにも有名だ。

 あれは排気量のバリエーションがいくつもある。
 元々GSX1100Sという、1100ccの大型バイクとして世に出た。
 だけどその当時、日本では750cc以上のバイクを販売しない自主規制があったので、750ccのGSX750Sも出た。
 海外向けだけだが、GSX1000Sもある。
 さらに、日本の中型免許にあわせた、250ccのGSX250SSと、400ccのGSX400Sも出た。

 もっといえば、GS650Gという、いわゆる「カタナ」といって思い浮かぶあのデザインとは違う、もうちょっと普通のバイクの格好をしたやつもある。デザイナーは同じで、これもKATANAというペットネームで売られていた。
 これも排気量の異なる、GSX400E、GSX250E、さらに125ccのGS125Eが存在する。

 また、ヨーロッパ向けの50ccスクーターにも、KATANAの名前が付けられたものがある。


 で、カタナには排気量によるカーストが存在し、小排気量のカタナについて、例の悪質バイク漫画「ばくおん!」にかかれば、
いやー 400ccカタナはホメるところ無くて苦労するわ
1100ccカタナと見間違われるのが唯一の長所だなんてかわいそうという言葉しか出てこないな (「ばくおん!」一巻 p.97)
とまでボロクソにいわれる。(画像転載を文字引用に改めました)

 こんなに酷い言い方をしないまでも、小排気量カタナを「包丁」とか「脇差し」とあざ笑うのはよくある。カタナ未満じゃないか、という。
 750ccカタナでさえ、時代や人によっては小刀扱いだったとかで、カタナカーストの恐ろしさがかいま見える。
 ただでさえ他社ライダーから変態呼ばわりされて笑われるスズキなのに、その上でスズキ内で嘲り合うなんて……



 ところで日本刀は、長さによって刀・脇差・短刀に分かれる。
 Wikipediaの「日本刀」の「打刀」段落によれば、刃長60cm以上が刀、30~60cmが脇差し、30cm以下が短刀。
 脇差の中でも、1尺8寸(54cm)~2尺(60cm)くらいなら大脇差、1尺3寸(39cm)~1尺8寸なら中脇差、1尺3寸以下なら小脇差、とも。
 あ、細かい計算めんどいんで、1尺=30cm・1寸=3cmでここでは扱うので。

 小排気量カタナを脇差とか短刀とか呼ぶのであれば、ちゃんと計算して定義したい。


 GSX1000Sは、一応GSX1100Sよりは小排気量だけど、レースのホモロゲーションモデルでもあり、まさかこれが小刀とかいわれるとは思えないので、排気量1000ccを刀の基準である60cm(2尺)としよう。
 これから、排気量によって刃長を出してみる。

  • GSX1000S - 60cm - 2尺の刀
  • GSX1100S - 66cm - 2尺2寸の刀
  • GSX750S - 45cm - 1尺5寸の中脇差
  • GS650G - 39cm - 1尺3寸の中脇差
  • GSX400S - 24cm - 8寸の短刀
  • GSX250SS - 15cm - 5寸の短刀(?)
  • GS125E - 8cm - 2寸6分ほどの短刀(?)
  • KATANA 50 - 3cm - 1寸の短刀(?)
 となるので、ナナハンカタナとGSX650Eは脇差、400は短刀と呼ぶのが適切。

 250ccの15cmカタナは、果たして短刀と呼べるかすら微妙なところ……といいたいところだけど、銃刀法では刃渡り15cm以上の刀を「刀剣類」に含める。一応刀といえば刀か。
 とはいえ、刃長15cmの短刀、というのはおそらく、日本刀としては短すぎてあまり作られないと思う。
 ポピュラーな15cmほどのの刃物ったら、小さめの包丁だろう。
 GSX250SSカタナを包丁呼ばわりするのは理にかなうが、肥後守呼ばわりはバカにしすぎ。

 8cmの刃物というと、もちろん肥後守でもいいが、オルファカッターナイフの小さい刃のやつが8cmとのこと。
 GS125Eカタナならカッターナイフ(小)が妥当か。
 ちなみにオルファの大型刃カッターナイフは18cmあるので、GSX250SSカタナより大きい。

 3cmの刃物となると、なんかあるだろうか。
 爪切り、とか思ってたんだけど、爪切りで3cmは大きすぎるか。
 まあ、さすがにKATANA 50を日本で見かけることはあまりないと思うので、見かけた時は3cmの刃物を考えて嘲るよりも、珍しいもんを見かけたと喜ぶのが正しいと思う。わざわざそんなの乗ってるとは本当に重症だなあと。



 ちなみに有名な刀剣でいえば、短刀であれば前田藤四郎が8寸1分ほど、小夜左文字が8寸5厘らしいので、このへんがGSX400Sカタナに近い。

 名のある脇差には、1尺9寸ちょっとあるような刀すれすれの大脇差が多いみたいなので、骨喰藤四郎とか、土方歳三の堀川国広とか、にっかり青江とかそのへんは、GSX1000Sカタナに近くなるようだ。
 また歌仙兼定も、1尺9寸9分5厘で同じく近い。

 鯰尾藤四郎は1尺2寸8分とあるので、GSX650Eカタナに近い。
 GSX750Sはあのゲームには適したものがないので、こっちもまあ鯰尾藤四郎を当てるのがベターだろうか。

 2尺2寸だと割とオーソドックスな長さだから、GSX1100Sカタナに近い刀は多いだろう。
 宗三左文字が2尺2寸1分、龍馬の陸奥守吉行は2尺2寸、燭台切光忠が2尺2寸3厘、大倶利伽羅宏光が2尺2寸2分5厘、といったところ。

 これらのカタナに乗って思うままに操ってみたいという向きは、大型二輪免許(前田藤四郎や小夜左文字なら中型でOK)を取得の上、全国のバイク屋やネットオークションなどを探し回ろう。
 どれも絶版車だから中古しか買えないし、中古車の流通数は減ることはあっても増えないし、減るほど状態は悪くなり価格は上がる。さあ急いで。

 なお、以上の刀の長さに関しては、「名刀幻想辞典」を参考にさせていただいたものが多々。しかしそれ以外の検索結果を見たものもあり、転記ミスなどを含めて、間違いがあれば私のせい。
 また、「刃長」と「刃渡り」その他の長さを示す用語をちゃんと区別してないので、その辺間違ってても私のせいではあるけど直す気ないわよ。

(バイクの写真と刀剣男子のカードを並べて一枚の画像にしたら、Twitterなんかで拡散しやすかろうと思うのだけど、バイクの写真を自力で集める能力が私にないからやらない)