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2012年8月17日金曜日

大阪市内 w/ SANYO DSC-R1

前から気になっていたのだけど、いかんせんマイナー機でなかなか巡り会えなかった、三洋のDSC-R1をようやく発見。
SONYのDSC-R1は、APS-Cサイズの大型センサーを搭載したハイエンドカメラだが、三洋のはローエンドもローエンド、2001年にもなって130万画素の下っ端安売りカメラとして世に出た。

が、どういうわけか、フレームトランスファー型という特殊なCCDを搭載している。





一般的なCCDセンサーでは、1つの画素に対して、受光するCCDとそれを転送するCCDが2つついている。
転送CCDは遮光されていて(遮光を突き抜けるほど光が強いとスミアが引かれる)、画素に当たる光が一部無駄になっている。

フレームトランスファー型の場合、受光する部分と転送・蓄電する部分を完全に分けてしまっている。
だからセンサーに当たる光をフルに利用でき、よりダイナミックレンジの広い、高感度なセンサーを作れる。
しかしその分、受光部と同じだけの蓄電部を別途確保しなければならんので、大きくなってしまう。

そこで、もう受光CCDにそのまま蓄電し、別の機械式シャッターを閉じてから転送する、というフルフレームトランスファーCCDというものもできてくる。
オリンパスE-1あたりでは、このフルフレームCCDが採用されていた。

DSC-R1のものが、フルフレーム型なのか、蓄電部別途のフレームトランスファー型なのかはわからないが、いずれにせよ、一般的なものではない。


感度が高いはずのFT-CCDで、なぜかISO20ベース。
普通のCCDで300万画素でもISO100は当たり前の時代に、130万画素で2段以上も暗いとなると相当な低感度だ。
FT-CCDの開発がさほど進んでいなかったか、古い設計のFT-CCDを持ちだしてきたのか……



で、実写してみた。

パンフォーカス機なのに、レンズがF2.8とむやみに明るい。絞りは入っているが、F5.6までしか絞らない。
FinePix A202は、F4.6で絞ってF9.5。兄弟機らしいCAMEDIA C-100は、F4/F8。

まあ、ISO20でF8なんてレンズだったら、これくらいの光量でもフラッシュが要るから、実用性もへったくれもなくなってしまうが。
左はISO20/F5.6で1/48秒。右は日陰だが1/34秒。すでにフラッシュ光るギリギリに近い。

とはいえ、レンズが明るいということは被写界深度が浅いから、やっぱりちょっとピントが甘いような画になっている。
パンフォーカス機にしても、ちょっとピントが近めかもしれない。看板をメモがてらに写すとピントがきていたりする。
マクロモードに切り替えれば、レンズが少し繰り出してピントが近くなるのだが、その機構を反対側にも伸ばして無限遠モードもあればよかったかも。
ただまあ、「誰でも手軽に使える」というローエンド機として世に出たから、オートフォーカス当たり前の21世紀人にゾーンフォーカスはお手軽とは言えないか。



ただ、ダイナミックレンジが広いというのは、本当だと思っていいかも。
へんてつもない感じの絵だけども、高架橋の暗いところをぐっと持ち上げてみても、しっかり潰れずに写っている。
逆にガンマをぐっと下げてみても、真っ白に飛んでいる部分はごくわずか。


発色はちょっと淡いような感じはあるけれど。


レンズはまあ、単焦点だけあって歪曲なんかは小さいが、逆光にはだいぶ弱い。すごくゴーストが出まくる。


そして、絞り開放になってしまうと、もうほわほわに甘いピントになる。
この一枚はリサイズせず原寸大にしたが、ほわほわ。こういうカットだから距離はそれほど遠くないのだが、それでもこの甘さ。
こうなるのがわかっているのか、1/30秒以下のシャッタースピードになるまでは、F5.6を維持するようになっている。
感度は上げるとかなり画質が落ちるようなので、絞りを開けるより先に増感するということはない。

何しろ真夏の晴天ということもあって、ほとんどずっとF5.6が維持されていた。
けれど、これが冬にでもなったら、ちょっと日陰に入った程度でも手ブレするようなシャッタースピードになりそう。雨では、ほぼ全コマフラッシュ必須になるのでは……


変わったセンサーのせいで、ちょっと変な画質のカメラだが、細かいところは安物にしては悪くない。
プラプラした安っぽい外観なのは仕方ないけど、スライドバリアスイッチはわりとスムーズに動く。
起動はまあ少しかかるけど、レンズは伸びないのでそれほど長い待ちにはならない。
ストロボオフを記憶しないなんてこともない。
液晶モニタがやけに上等で、低温ポリシリコン液晶を採用している。真夏にも見えなくならない、きれいに映るモニタ。
露出補正も、撮影時に十字キー左右で直接呼び出せる。
この時期の三洋では当たり前だけれど、ハードスイッチで液晶ON/OFFを切り替えるので、電池が心配なときも液晶オフに切り替えやすい。
電池も、まあ単三4本使うんだから持ってもらわないと困るが、よく持つ部類のようだ。
メモリカードがコンパクトフラッシュというのもあって、入手に困ったりもしにくい。
USB端子が普通のMini-Bで、つなぐと普通にマスストレージクラスで認識するのもいい。

風変わりなローエンド機だけれど、目立たないところが丁寧に作ってあって、三洋はいい仕事するな、というところ。